人間が普通に食べていいものであっても、ワンちゃんが食べてはいけない危険なものがあることをご存知ですか?
ワンちゃんが食べてはいけないものの中には、中毒を起こしたり、命を落とす可能性があるものもあり、愛犬のためにも食べていいものと食べてはいけないものを知っておくことは大切なことです。
そこで本記事では、ワンちゃんが食べてはいけないものやその理由、誤って食べてしまったときの対処法を解説します。
また、ワンちゃんが食べていいものであっても、注意が必要なものもあるため、しっかり覚えておいてくださいね。

具体的な食べ物とその理由
ワンちゃんが絶対に食べてはいけないものは、そう多くはないです。しかし、身近な食べ物のため、食べられないように注意するのはもちろん、ゴミの処理にも配慮しましょう。
ここでは、ワンちゃんが絶対に食べてはいけない野菜類や果物類、その他の食べ物を理由と共にご紹介します。
犬が食べてはいけない野菜類
まずは、ワンちゃんが絶対に食べてはいけない野菜類や生で食べさせてはいけない野菜類、多量に食べてはいけない野菜類をそれぞれご覧ください。
■犬が絶対に食べてはいけない野菜類一覧
・玉ねぎなどのネギ類(玉ねぎ、青ネギ、白ネギ、長ネギ、万能ねぎ、わけぎ、あさつき、小ネギ、エシャロット、ニラ、ラッキョウ、リーキなど)
・緑色のじゃがいも
・熟していない青いトマト
・じゃがいもの芽
・トマトやナスのヘタ
じゃがいもの芽やナスやトマトのヘタは人間でも食べることはない部位で、飼い主さんが進んで与えることはないと思いますが、わんちゃんがあさって食べることがないように生ごみの処理には十分に注意してください。
これらの野菜類の危険性は、「犬にとって危険な野菜とその危険性」で解説します。
■犬が生で食べてはいけない野菜類一覧
・ほうれん草
・チンゲンサイ
・小松菜
・もやし
・とうもろこし
・里芋
・じゃがいも
・さつまいも
・かぼちゃ
・豆類全般
・きのこ類全般
生で食べるとシュウ酸が多すぎて尿石症になるリスクが高まったり、消化不良や腹痛を起こす可能性があるため、加熱して与えるようにしてください。
■犬が多量に食べてはいけない野菜類
・ぎんなん
ワンちゃんの薬膳などに使用されることもあり、少量(1~2粒程度)であれば、食べても問題はありませんが、たくさん食べるとビタミンB6の働きが阻害されたり、中毒症状を起こす可能性があるため注意が必要です。
犬にとって危険な野菜とその危険性①玉ねぎなどのネギ類
ネギ類に含まれる「有機チオ硫酸化合物」は、ネギ中毒を起こす可能性があります。
ワンちゃんは有機チオ硫酸化合物を分解する酵素を持っておらず、ワンちゃんの体内に入ると赤血球を破壊します。
赤血球が破壊されることで体中に酸素を運ぶことができなくなって貧血や呼吸困難を起こす可能性があり、最悪の場合は命を落とすこともあるため絶対に与えないようにしてください。
ワンちゃんに玉ねぎを与えた研究結果によれば、体重1kgあたり5g以上の玉ねぎを食べると体に異変が起こる可能性が高いとされていますが、個体差があるのはもちろん、柴犬や秋田犬など和犬は中毒症状が出やすい傾向にあるため、十分に注意が必要です。(※1)
また、加熱や乾燥、エキスにしても毒性が残るため、ネギ類が含まれている加工品にも注意してください。


犬にとって危険な野菜とその危険性②緑色のじゃがいもやじゃがいもの芽
じゃがいもの芽や緑色のじゃがいもに含まれる「ソラニン」や「チャコニン」は、中毒を起こす可能性があります。
ソラニンやチャコニンは自然毒の「グリコアルカロイド」の1種で、摂取すると食中毒を起こしたり、けいれんや呼吸困難といった重篤な神経症状が出ることもあり、実際にじゃがいものグリコアルカロイドによる健康被害は人間でも多数報告されています。(※2)
加熱しても毒性は残るため、緑色になった部分はしっかり取り除くか、与えないほうが安心です。
じゃがいもは、長時間蛍光灯や太陽の光にさらされると芽が出やすくなったり緑色になるため、購入する際は緑がかっていないかよく確認することをおすすめします。


犬にとって危険な野菜とその危険性②熟していない青いトマトやトマトのヘタ
トマトのヘタや熟していない青いトマトに含まれる「トマチン」は、トマチン中毒を起こす可能性があります。
トマチンは自然毒の「グリコアルカロイド」の1種で、摂取すると食中毒を起こしたり、けいれんや呼吸困難といった重篤な神経症状が出ることもあり、注意が必要です。
熟したトマトにトマチンはほとんど含まれなくなるため、愛犬にトマトを与える際は熟したトマトを与えてくださいね。
■トマチン含有量の違い(※3)
・トマトの茎:896mg / kg
・熟していない青いトマトの果実部分:465mg / kg
・熟したトマトの果実部分:0.4mg / kg


犬が食べてはいけない果物類
ワンちゃんは多くの果物を食べることができますが、絶対に食べてはいけない果物や注意しなければいけない果物があります。
■犬が絶対に食べてはいけない果物類一覧
・ぶどう
・未熟なプルーン(プルーン、プラム、すももなど)
・未熟なアボカド
ワンちゃんが絶対に食べてはいけない果物類は、命に係わることがあるものばかりです。
詳しくは、「犬にとって危険な果物とその危険性」で解説します。
■犬が生で食べてはいけない果物類
・栗
生のままでは消化不良を起こす可能性があるため、必ず加熱して与えましょう。
■犬が多量に食べてはいけない果物類
・いちじく
少量であれば問題はありませんが、たくさん食べると嘔吐や下痢といった中毒症状のほかに、タンパク質分解酵素である「フィシン」の作用によって口腔内の粘膜が荒れてよだれが出る可能性があります。
犬にとって危険な果物とその危険性①ぶどう
ぶどうの何がワンちゃんの体に悪影響を与えるかはまだ解明されていませんが、ぶどう中毒を起こす可能性があり、実際に日本や海外で中毒症状を起こしたわんちゃんがいることが多数報告されています。
ワンちゃんがぶどうを摂取すると、腎臓をはじめとするさまざまな臓器に悪影響を及ぼすことが確認されており、急性腎不全で命を落としたり、後遺症で慢性腎臓病となることもあるため十分に注意が必要です。(※4、5)
干しぶどうであるレーズンでも中毒は報告されているため、絶対に与えないようにしてください。

犬にとって危険な果物とその危険性②未熟なアボカド
未熟なアボカドには自然毒の「ペルシン」が含まれており、人間には無害でもワンちゃんには悪影響を及ぼし、最悪命を落としてしまう可能性があります。
ペルシンは嘔吐や下痢といった軽い症状から、心筋組織の損傷や肝障害、呼吸困難など重篤な症状を引き起こす恐れがあるため、十分に注意が必要です。
どれくらいの量を食べたら危険なのかはまだわかっていないため、少量でも与えないほうが安心と言えます。
熟したアボカドにはペルシンはほとんど含まれませんが、品種によって含有量は異なるので心配な場合は避けておきましょう。

犬にとって危険な果物とその危険性③未熟なプルーン
未熟なプルーンに含まれる「アミグダリン」は、青酸中毒を引き起こす可能性があります。
摂取すると体内で猛毒のシアン化水素(青酸ガス)を発生させ、けいれんや呼吸困難を起こしたり、命を落としてしまうこともあるため、十分に注意しましょう。
また、熟すと果肉中のアミグダリンは消失しますが、ドライプルーンはカリウムを特に多く含み、高カリウム血症を起こすリスクが高まるので与えないようにしてください。

犬が食べてはいけないその他の食べ物
野菜や果物だけでなく、ワンちゃんが注意しなければいけない食べ物はほかにもあります。
■犬が絶対に食べてはいけないもの一覧
・チョコレート
・キシリトール
・アルコール
ワンちゃんの食べ物ではないため、飼い主さんが進んであげることはないと思いますが、盗み食いをされないように注意が必要です。
■犬が生で食べてはいけないもの
・レバー
生のレバーには、食中毒を起こす菌やE型肝炎ウイルス、寄生虫がついている可能性があり、必ず中まで加熱してから与えてください。
■犬が多量に食べてはいけないもの
・マカダミアナッツ
なぜ中毒を起こすかはわかっていませんが、多量に食べると嘔吐や下痢を引き起こすことが報告されています。また、消化しにくいため、丸ごと飲み込んでしまうと腸閉塞を起こすこともあるため注意が必要です。


犬にとって危険な一般の食事やおやつとその危険性①チョコレート
原材料のカカオに含まれる「テオブロミン」や「カフェイン」などのメチルキサンチンが、血管拡張作用や神経刺激作用などを引き起こし、最悪の場合突然死することもあります。
ワンちゃんは体内でメチルキサンチンを分解する能力が低く、摂取してから分解して排出するまでに時間がかかるため、体内に残っている時間が長いことでメチルキサンチンの作用が強く出てしまうため、注意が必要です。
ほかにも、コーヒーや緑茶、紅茶などにもカフェインは含まれているため、与えないようにしましょう。

犬にとって危険な一般の食事やおやつとその危険性②キシリトール
キシリトールは野菜や果物にも微量に含まれいるため、少量を舐めた程度では中毒を起こすことはありませんが、人間用に加工されたデンタルケア用品やおやつ、缶詰などはキシリトールが多く使用されているため注意が必要です。
ワンちゃんが人間用に加工されたキシリトールを食べてしまうと、衰弱や低血糖、肝障害などの中毒を起こす可能性があり、大量に摂取した場合では命を落とすこともあります。
■人間用の食品でキシリトールが含まれるもの
ガム、キャンディー、クッキー、チョコレート、果物の缶詰、清涼飲料水、ゼリーなど

犬にとって危険な一般の食事やおやつとその危険性③アルコール
ワンちゃんがアルコールを摂取すると、少量でもアルコール中毒を起こす可能性があり、舐めただけでも危険です。
ワンちゃんは体内でアルコールを分解することができないため、完全に排出されるまでの間体内にアルコールがとどまり、内臓全般にさまざまな悪影響を及ぼし、命を落とすこともあります。

犬が中毒になっているときの症状と対処法
では、ワンちゃんが中毒を起こしている時の症状はどのようなものがあるのでしょうか。
また、食べてしまったときはどう対処すべきなのか、ここで詳しく見ていきましょう。
犬が中毒になっているときの症状
ワンちゃんの中毒にはさまざまなものがありますが、ほとんどの中毒で共通してみられるのは、嘔吐や下痢といった症状です。
嘔吐や下痢は中毒でなくても病気などでよく見られる症状ですが、嘔吐や下痢を起こす前に何を食べたかを考えてみましょう。
犬の中毒の初期症状と重篤な症状
■犬の中毒の初期症状
・嘔吐
・下痢
・腹痛
・食欲不振
・元気がなくなる
・食欲不振
■犬の中毒の重篤な症状
・繰り返し吐いたり頻繁に吐く
・ぐったりしている
・ふらつく
・立ち上がれない
・けいれん
・震え
・呼吸困難
・不正脈や頻脈
・失神
・意識混濁
・昏睡
ワンちゃんが何を食べたかにもよって症状や症状が現れる時間は異なりますが、摂取してから30分〜数日後に上記のような症状が見られることがあります。
犬が間違って食べてしまったときの対処法
ワンちゃんが食べてはいけないものを食べてしまったときは、症状がなくたとえ元気にしていてもすぐに動物病院を受診してください。
中毒症状はすぐに出るとは限らず、数日後に起こることもあります。
このとき、「食べた時間」や「食べた物」、「食べた量」をすぐに伝えられるようにメモしておくと治療もスムーズです。
様子を見ていたら急変したということも多々あるため、自己判断しないことが大切です。
犬が食べてはいけない物を食べてしまった時の対処法|自分では吐かせない
ワンちゃんを吐かせる方法がネット上で紹介されていますが、どれも危険な方法で、効果がないばかりか逆に状態を悪化させてしまう可能性もあるため、絶対に飼い主さんが自分で吐かせるようなことはしないでください。
また、ワンちゃんが口にしたものによっては吐かせてはいけないものもあります。愛犬のためにも必ず動物病院で処置をしてもらいましょう。

犬の年齢と食事の注意点
ここでは、ワンちゃんの年齢における食事の注意点について見ていきましょう。
子犬(0歳)の食事について
■子犬期について
・超小型犬…生後9ヶ月頃まで
・小型犬…生後10ヶ月頃まで
・中型犬…生後12ヶ月頃まで
・大型犬…生後16ヶ月頃まで
・超大型犬…生後18ヶ月頃まで
基本的に子犬は、健やかな成長のために栄養バランスの取れた子犬用の総合栄養食を与えましょう。
子犬は、消化器官が未発達のため、消化に負担がかからないように食事の回数を増やす必要があります。
■子犬の食事回数の目安
・生後2~3ヶ月…3~5回
・生後4~6ヶ月…3~4回
・生後6ヶ月~1歳…3~2回
・1歳~…2回
注意するべき食べ物と与え方
子犬が注意すべき食べ物は、消化に負担がかかる生野菜や生肉、生魚です。
イカやエビなどは加熱したものであっても与えないほうがいいでしょう。
野菜や肉、魚は必ず加熱して与え、消化しやすいように細かく刻んだりペースト状にして与えてください。
果物を与える場合では、こちらも消化しやすいように細かく刻んで、与える量はごく少量にとどめましょう。
また、はちみつはワンちゃんが食べてもいいものですが、子犬期では避けておいたほうが安心です。

成犬(0~8歳)の食事について
■成犬期について
・超小型犬…7~8歳頃まで
・小型犬…7歳頃まで
・中型犬…6~7歳頃まで
・大型犬…4~5歳頃まで
・超大型犬…5歳頃まで
成犬の食事は、ワンちゃんの体質や好みにあった成犬用の総合栄養食を与えましょう。
また、避妊手術や去勢手術をすると太りやすくなるため、適正な給与量を与えることが大切です。
注意するべき食べ物と与え方
成犬では、1日2回の食事回数が一般的で、注意すべき食べ物は特にありませんが、食物アレルギーなどがある場合では、アレルギーの原因となる食べ物は与えないようにしましょう。
また、骨などを与える場合は、喉や消化器官を傷つけないように圧力鍋などで柔らかく煮て与えることをおすすめします。

老犬(8歳以上)の食事について
■シニア期について
・超小型犬、小型犬、中型犬…7歳~
・大型犬、超大型犬…5歳~
シニア期に入ると、見えない体の内部で徐々に老化が始まるため、消化や代謝に配慮した老犬用(シニア犬用)フードの切り替えを検討しましょう。
老化には個体差があるため、シニア期に入ったからすぐに老犬用に切り替えなくてはいけないということはなく、切り替えについては獣医師と相談することをおすすめします。
■老犬の食事の回数の目安
・老犬…3~4回
・高齢犬…4~5回
注意するべき食べ物と与え方
老犬は内臓や消化機能が衰えてくることから、消化に負担がかかる生野菜や生肉、生魚などは注意が必要です。
与える際は柔らかくなるまで加熱して、細かく刻んだりすりつぶす、ペースト状にするなどしてあげましょう。
また、病気がある場合では、栄養素の制限が必要なこともあるため、何を食べてはいけないかは獣医師に確認してください。

犬の健康を守るための食事管理と対策
愛犬の健康を守るためには飼い主さんによる食事管理が重要ですが、何気ない日常にもワンちゃんが食べてはいけない草や植物はあり、お散歩や庭の散策、室内に飾っている観葉植物など、口にしないように注意しましょう。
犬が食べてはいけない草や植物
身近な場所に生えている草や植物の中には、ワンちゃんが食べてはいけないものもあります。
■犬が食べてはいけない草や植物一覧
・ツツジ
・ユリ
・スズラン
・スイセン
・オシロイバナ
・アジサイの葉
・アサガオの種子
・ナンテン
・アイビー
・ポトス
・ドラセナ
・カラジウム
・モンステラ
・ディフェンバキア
・ポインセチア
・アロエ
・キク
・カーネーションなど
犬が食べてはいけない草や植物は、これら以外にもたくさんあり、どれも中毒を起こす可能性があるため注意が必要です。
犬にとって有害な草やハーブとその理由
ワンちゃんにとって、外に生えている草や植物はすべて注意が必要です。毒性がある草や植物では中毒症状を起こす可能性があるのはもちろん、食べても問題のない草であっても除草剤や農薬がついている可能性があります。
除草剤や農薬は摂取した量によっては命を落とすこともあるため、お散歩コースで除草剤や農薬が撒かれていないか常にチェックしてください。
また、基本的に人間が食べられるハーブは少量であればワンちゃんが食べても問題はないですが、持病があるワンちゃんや薬を飲んでいるワンちゃん、アレルギーがあるワンちゃんは注意が必要です。

人間の食事と犬の食事
基本的に、人間用の食事はワンちゃんにとって塩分や糖分などが多く、肥満や体調不良の原因となってしまうため、与えないようにしましょう。
そもそも、人間とワンちゃんでは必要な栄養素の比率が異なるのはもちろん、人間の食事の中にはワンちゃんが食べてはいけない危険な食材が使用されていることもあります。
また、味付けの濃い人間用の食事に慣れてしまうと、味の薄いワンちゃんの食事を食べなくなってしまうこともあるため、愛犬の健康のためにも人間の食事は与えないでくださいね。
犬の栄養バランスと適切な食事の摂り方
ワンちゃんに必要な栄養素は、「6大栄養素」と言われる以下のものです。
・たんぱく質
・脂質
・炭水化物(糖質と食物繊維)
・ビタミン
・ミネラル
・水分
これらをバランスよく適量を摂取することが大切で、ドッグフードの総合栄養食には水分以外の栄養素がワンちゃんに必要な量含まれています。
これらのバランスを偏らせないように、おやつやトッピングを与える必要があると言えます。
また、ワンちゃんに合わせて栄養バランスを考えるのはとても難しく、手作りご飯を与えている場合では、必要な栄養が足りていない可能性があり(※6)、ワンちゃんの栄養学や調理方法による栄養素の違いを学んでないない場合は、手作りご飯を毎食与えるのはおすすめできません。

専門家からのアドバイス
ここでは、ワンちゃんが食べていいものであっても注意すべき食材や、食べ物による病気、毒性のある食べ物について解説します。
注意すべき食材とその成分
ワンちゃんが食べてもいいものであっても、持病があるワンちゃんや薬を飲んでいるワンちゃんでは、注意が必要なものもあります。
例えば、柑橘類はワンちゃんが食べてもいい果物ですが、薬の作用を強めてしまう成分「フラノクマリン」が含まれており、ワンちゃんではどの薬に相互作用するか確認されていないため、愛犬に柑橘類を与える場合は事前にかかりつけの獣医師に相談したほうが安心です。
■フラノクマリンを多く含む柑橘類(※7)
・グレープフルーツ
・スウィーティー
・ダイダイ
・ブンタン
・はっさく
・甘夏
・金柑
・ライム



犬の食べ物による病気とその予防法
正確には、食べ物によって病気が起こるということはありませんが、食べてはいけないものを食べさせたり、栄養バランスを偏らせるような食べさせ方をした場合では、病気のリスクは高くなります。
基本的にワンちゃんが食べていいものを適量食べる分には、過剰に病気の心配をする必要はありませんが、例えば、バターや生クリーム、レバーばかりを毎日たくさん食べさせるといったことがあれば、膵炎などを引き起こす可能性はあるでしょう。
バランスよく適量を食べることが一番の予防法と言えます。
ワンちゃんが誤飲した際の対処法
慌てず冷静に、何をいつどれくらい食べたかを確認し、動物病院を受診してください。
できれば、家の近所で夜間救急など緊急時に診察してくれる動物病院を探しておくといいでしょう。
電話で獣医師に指示を仰ぐことも有効な手段の1つです。

毒性のある食物についての専門的解説
どんな食べ物にも何らかのリスクはあり、食べてはいけないもの以外では適量にとどめておくことが大切です。
長く健康に過ごすための食事の工夫
愛犬にいつまでも健康で過ごしてもらうために、簡単にできる食事の工夫についてご紹介します。
健康な犬の食事メニューの例
健康な成犬のワンちゃんの食事メニューは、朝と晩に総合栄養食の成犬用のドッグフードを与え、間食として野菜や果物をおやつとして少量与えるのが理想です。
本来であれば、水と総合栄養食を与えていればおやつも必要はありませんが、おやつの時間はコミュニケーションの時間でもあり、何よりもワンちゃんに食べる楽しみを与えてあげることは、精神的な満足度を与え結果として健康にもつながるでしょう。

病気になりにくい体を作る食事のポイント
病気には予防できる病気と予防できない病気がありますが、食事によってかからなくてもいい病気にさせない、病気になりにくい体を作るサポートはできます。
ドッグフードはワンちゃんに必要な栄養バランスを考えて作られているため、そのワンちゃんが1日に必要な適量を与え、おやつやトッピングは栄養バランスを偏らせない程度(1日の摂取カロリーの10%~20%以内)にとどめておくことが大切です。
また、ドッグフードに使用される添加物を過剰に心配する必要はありませんが、添加物の過剰摂取が体の負担になる可能性はあると考えられているため、人工添加物の使用されたドッグフードを長期にわたって継続的に与えることは避けた方がいいでしょう。
愛犬のために飼い主ができること
最後に、愛犬のために飼い主ができることを知っておきましょう。
犬に食べさせてはいけないものを知る
ワンちゃんが食べてはいけないものや、注意が必要なものが何か知っておくことで、食べさせて体調不良にさせてしまうといったことが避けられます。
また、ワンちゃんが誤って食べてしまったときに、動物病院に行くべきか様子を見ていいかと悩むこともなく、適切な治療を受けさせてあげることができますね。
人間用の食事を食べさせない
人間用の食事はワンちゃんの肥満や体調不良を引き起こす原因となりかねないため、食べさせないようにしましょう。
食事の管理を徹底する
ワンちゃんの食事は、飼い主さんが管理してあげなければいけません。1日に必要な食事量をきちんと与えることが大切です。
適切な食事を用意する
ライフステージによって、ワンちゃんの食事内容は異なります。ライフステージと食事内容が合っていないと栄養不足や栄養過多などを引き起こすおそれがあるため、愛犬のライフステージに合わせた食事を用意しましょう。
また、ドッグフードが体質に合う合わないということもあるため、体質に合った食事を探してあげることも必要です。

散歩中に食べさせないこと
道端にはワンちゃんが食べてはいけない草や植物があったり、農薬などの薬剤がついている可能性があります。
体調不良や中毒の原因となってしまうため、食べないように注意してあげましょう。
しつけの大切さとその方法
何でもかんでも食べてしまうのは、ワンちゃんにとってとても危険です。落ちているものを食べないしつけをしておきましょう。
拾い食いをしないしつけの方法は、「マテ」や「ストップ」といったコマンドをいつでもどこでもできるようにしておくといいですね。
また、口に入れたものを離す「チョウダイ」も合わせてトレーニングしておくと、万が一拾い食いをしてしまったときでも飲み込む前に出してもらうことができて安心です。
訪問者にも協力してもらう
「マテ」や「チョウダイ」などのしつけは、訪問者にも協力してもらうと、より確実で安心です。
なかなか難しく時間はかかりますが、まずはできるできないではなく統一することが大切なので徹底しましょう。
まとめ:愛犬の健康を守るために飼い主がやるべきこと
今回は、犬が食べてはいけないものやその理由、対処法についてご紹介しました。
愛犬の健康を守るのは、飼い主さんの手にかかっています。食事の内容や食事の量、食事の回数など、食事に関するものだけでもたくさんあることがお分かり頂けたのではないでしょか。
特にワンちゃんが口にするものでは、命に係わる危険なものもあり、知らなかったでは済みませんね。
ワンちゃんは多くのものを食べることができますが、食べてはいけないものもあることをよく理解し、愛犬とのおやつタイムや食事の時間に役立ててください。


筆者プロフィール
■記事執筆
犬の管理栄養士 望月紗貴(もちづき さき)
■記事執筆者プロフィール
一般社団法人愛玩動物健康管理協会の代表理事。犬の管理栄養士、犬の管理栄養士/アドバンス、愛玩動物救命士、犬猫行動アナリスト、ペット介護士、ドッグトレーニングアドバイザー、ドッグヘルスアドバイザーを中心に数多くのペット関連資格を保有。総合栄養食や流動食、アレルギー食や特定犬種の疾患に応じたペットフードの委託栄養設計や開発を行っております。
<参考文献>
※1:ペット栄養学会誌「禁忌食(その1)―タマネギなどのネギ属とイヌ・ネコの健康」
※2:厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:高等植物:ジャガイモ」