猫は体を濡らすことを本能的に嫌がるため、お風呂に入れることが大変な場合も多くあります。猫が安心してお風呂に入るためには、どのような手順でシャンプーすればよいのか、どのような工夫が必要なのかなどについて詳しく解説します。
猫のお風呂の必要性
猫を室内で飼っている場合は、基本的にお風呂に入らせる必要性がありません。
猫は肉球以外に汗をかかず体臭もほとんどないため、室内のみで外に出なければ、汚れないことも理由のひとつです。
また、もうひとつの理由としては、猫の多くは水に濡れることにストレスを感じるためです。ごくまれに、お風呂を喜ぶ猫もいますが大半は嫌がるでしょう。
ただし、お風呂に入れる必要がある猫は、外で過ごすことが多い猫です。
また、外で過ごしてきた猫を家で飼うのであれば、ノミやダニ・カビなどの付着の可能性があるため、ノミダニ除去の薬を使用してからシャンプーしましょう。
すぐにシャンプーしてしまうと、ノミダニが飛び散ってしまう危険性があります。

猫の清潔の保ち方
猫は、多少の汚れは毛づくろいによって落とし、清潔さを保っています。
ただし、長毛タイプの猫は、毛づくろいだけでは落ちにくい場合があるため、年に2〜4回ほどの頻度でシャンプーしてあげてもよいでしょう。
猫の風呂嫌いの原因と対処法
猫が水に濡れることにストレスを感じる理由は、一言でいえば本能です。
猫のルーツは砂漠といわれています。
猫の毛は一度濡れると乾きにくい毛質から、水に濡れた状態で砂漠の夜を迎えてしまうと、体温が奪われていき生命の危機を迎える危険性があります。
そのため、本能として濡れることを拒否してしまう可能性が高いともいえるでしょう。
愛猫があまりにもお風呂を嫌がる場合は、お湯で濡らしたタオルやお手入れ用のシートを利用して拭いてあげるだけでも十分です。
また、水を使わない犬・猫用のドライシャンプーを利用してもよいでしょう。

猫のお風呂の準備
猫をお風呂に入れる際に必要なものは次の4つです。
- シャンプー
- バスタブまたは洗面器
- タオル
- ドライヤー
上記4つの選び方について、詳しく解説します。
適切な猫用シャンプー選び
シャンプーは猫用にしましょう。
人用はもちろんのこと、犬用もおすすめしません。
皮膚の状態が違うため、猫用に合わせたシャンプー以外は、皮膚が荒れてしまう可能性があります。
ただし、犬・猫用と記されている場合は、犬と猫は同じシャンプーを使用できます。
シャンプーの種類には、ノミやマダニを取り除く効果が期待できる薬用成分配合のものや敏感肌用、毛に優しいトリートメント配合、頑固な汚れ用など多種多様です。
愛猫の状態にあったシャンプーを選びましょう。

猫用シャンプーと人間用シャンプーの違い
人の皮膚は弱酸性で、ph値は4.5〜6.0ほどです。猫も弱酸性ですが、ph値が6.4ほどで人間よりも中性よりです。
人間用のシャンプーは人用のph値に合わせて作られているため、猫の肌状態とはあっていません。毛質についても、人間と猫では異なるため、猫の被毛状態が悪くなる可能性もあるでしょう。
また、人用には髪のツヤをよくするなどさまざまな添加物が入っている場合もあるため、注意しましょう。無添加といえども、人間の皮膚に対応したシャンプーであるため、刺激が強すぎる場合があります。
おすすめの猫用シャンプー
より清潔に愛猫を保ちたいためや敏感肌の愛猫にシャンプーをするのであれば、猫用の無香料・無着色シャンプーがおすすめです。
猫は人の嗅覚の数万倍、数十万倍といわれているほど優れています。
シャンプーのニオイを不快に感じる場合も多いため、ニオイのないタイプはストレスを減らすことにもなるでしょう。
ニオイがなく、猫の肌や被毛に優しいおすすめの猫用シャンプーはこちらです。
【Beauty Harmony「マルットペットシャンプー」】

出典:Beauty Harmony「お肌の弱いペット向け香料0.00%シャンプー マルットペット シリーズ」
「最低限の成分」で肌をいたわり、「香らないこと」を目指した天然由来成分100%・香料0.00%の完全無香料アミノ酸系ペットシャンプーです。
また、よく外にいく猫であれば、ノミやマダニに効果が期待される、次のような薬用成分のシャンプーもおすすめです。
【ライオンペット株式会社「ペットキレイ」】

出典:ライオンペット株式会社「ペットキレイ のみ・マダニとり リンスインシャンプー 犬猫用 グリーンフローラルの香り」
弱酸性・無着色のうえ、洗浄成分の100%が植物生まれのため、肌にも被毛にもやさしくありながらノミ・マダニに効果が期待できます。
愛犬の日常の様子や状態によって、シャンプーも選びましょう。
猫用のバスタブや洗面器の選び方
猫をシャンプーする際に、バスタブや洗面器を使用すると効率的です。
バスタブや洗面器の中に、35℃ほどのぬるま湯とシャンプーを入れてかき混ぜた後に、愛猫を入れて洗っていきます。
そのため、愛猫を入れたときに体はしっかり入り、広すぎず深すぎない大きさが必要です。
体が小さい場合は、洗面器でも十分対応できます。
あまりにも浅いと、愛猫が嫌がった際に飛び出し、中身をまき散らしてしまうため、ある程度の深さのある洗面器がおすすめです。
バスタブは、そのまま置いておくと場所をとってしまうため、折りたためるものにしましょう。また、水抜き栓があると排水がラクにできるため、水抜き栓があるおりたたみタイプのバスタブがおすすめです。

準備するタオルとドライヤー
人間の聴覚の3倍はあるとされる猫の聴覚では、ドライヤーの音を不快に感じてしまう傾向にあります。
嫌がる愛猫を押さえつけてドライヤーをする状態であれば、少しでもドライヤーをあてる時間を少なくするために、吸水性の良いタオルでしっかりとタオルドライをしましょう。
タオルは人間が使用するスイミング用のタオルでも問題なく利用できます。
犬猫用の吸水タオルも多くの種類がでています。
タオルドライをしっかりすることで、ドライヤーの時間が大幅に削れるため、超吸水タイプのタオルはおすすめです。

猫のお風呂の入れ方5つの手順
猫をお風呂に入れる前のチェックや事前のお手入れ、シャンプーの仕方からドライヤーで乾かすまでの5つの手順を解説します。
①ブラッシングや事前の手入れ
お風呂に入る前に、ブラッシングして毛玉などしっかりほぐしておきましょう。
また、次の3つをチェックしてください。
- 体調の確認
- 爪の確認
- 耳の中の確認
体調が悪いときや怪我しているときなどのように、体調が万全ではないときはお風呂をやめましょう。
また、抵抗して引っかかれる可能性があるため、お風呂前に猫の爪のお手入れを忘れないようにしてください。
耳の中のニオイや耳垢の量や色などに以上がないかの確認をしましょう。外耳炎などの症状や炎症があるときのお風呂はやめ、早めに病院へ行きましょう。
②猫が好むお湯の温度と量の確認
猫を入れるお湯の温度は、人が手を入れたときに「ぬるい」と感じる35度ほどがおすすめです。バスタブや洗面器に入れるお湯は、愛犬の足が隠れるほどでも十分です。
顔が濡れることを嫌がる場合が多いため、特に初回は少ない量からにしましょう。
お風呂に浸かることを好む猫もいるため、様子をみながらお湯の量を調整してください。
③猫が喜ぶシャンプーの方法
背中からゆっくり水流弱めのシャワーを軽く押し当てるようにして、お尻や足など順番に濡らしていきますが、初めてのお風呂を怖がったり、シャワーを怖がってしまう場合があります。
そのため、バスタブや洗面器に最初からお湯とシャンプーを混ぜた状態をつくり、ゆっくり後ろ足から入れていきましょう。
お腹など内側は嫌がりやすいため、背中からお尻、尻尾などのようにゆっくり手で全体を濡らしていきます。そして、手でマッサージするように優しく洗ってください。顔にかかることを嫌がることが多いため、顔周りは注意して洗いましょう。

④シャワーとお湯での洗い方
バスタブの外にだして、弱めのシャワーで顔周りから洗い流していきます。シャワーヘッドは軽く体に押し当てるようにして、順番に流してください。
シャワーを怖がってしまう場合は、バスタブや洗面器のお湯を入れ替えながら、手ですすいでいきます。すすぎ残しには気をつけましょう。
⑤タオルドライとドライヤーの使い方
タオルドライはしっかりと行ってください。
タオルで猫を包み込み、押さえるように優しくしっかりと水分をとっていきます。
吸水性の高いタオルが活躍します。
ドライヤーは多くの猫が苦手とする音のため、嫌がる場合も少なくありません。
タオルドライでしっかりと水分をとった状態であれば、ドライヤーの使用時間も少なくできます。
ドライヤーは風量を弱くし、温度も低めに設定しましょう。
顔周りに風があたらないように注意しながら、猫の体からドライヤーを離し、手ぐしで乾かしていきます。
最後にコームやブラシで毛流れを整えてあげましょう。

猫のお風呂の注意点
猫をお風呂に入れる際の一番の注意点は、体調が悪いときやいつもと違う場合はやめて、体調が万全なときに入れることです。
その他、体力のない子猫や手術後、皮膚トラブルを発見した際などの対応やお風呂のストレスを少しでも抑えるための工夫も含めて、解説します。
子猫のお風呂の頻度と注意点
子猫のお風呂デビューは、生後3ヵ月が経過していることと、ワクチン接種完了がひとつの目安です。
生まれて間もない子猫には、体力もなく免疫力も十分ではありません。お風呂は体力を奪うこともあり、体調を崩してしまう可能性があります。
温かいタオルで優しく拭いてあげるだけでも十分ですが、どうしてもお風呂に入らせなければいけない場合は、動物病院で相談すると安心です。

妊娠中や手術後の猫のお風呂の入れ方
例えば、避妊手術や去勢手術の場合は抜糸が終わってから2〜3日以降ともいわれますが、抜糸が必要ない場合は、術後10日間はシャンプーをしないように言われる場合も多いでしょう。病院によっては、術後1ヵ月はシャンプーやトリミングを避けることをすすめられる場合があります。
また、手術前も体力を使うため、手術前日のお風呂は禁止としている場合も少なくありません。
お風呂に入れないときに、汚れが気になったときは、温かいタオルで優しく拭いてあげましょう。
猫の皮膚トラブルや病気への対応
愛猫の毛が一部分だけ抜けてしまっていたり、かさぶたができていたりなどを見つけた場合は、皮膚病の可能性があります。
全身をかゆがって搔きむしる、一部分を噛んだりなめたりする、頭をしきりに振るなどいつもと違う動作をするようであれば、お風呂に入れずに動物病院に連れていきましょう。
病院にいくまでの応急処置としては、服を着せたり体を冷やしてあげてください。
日頃から、愛猫の体をよく撫でたり、ブラッシングしたりなどスキンシップを多くとることで、異変に気づきやすくなります。
ただし、猫がかゆがる原因の病気には「疥癬」と「皮膚糸状菌症」があり、他の猫や人にうつる可能性があります。接触した後は、しっかりと手洗いをしてください。
特に免疫が低いと感染しやすくなるため気をつけましょう。

猫のストレス軽減のための工夫
お風呂でストレスを溜めさせないようにするには、少しずつ慣らしていくことが大切です。
お風呂は、猫がそもそも苦手としている、体を濡らすことやドライヤーのような大きな音を聞かせられるため、ストレスを溜めやすい状態です。
シャワーについても嫌がる確率が高いため、水圧弱めのシャワーにしたり、最初はシャワーを使用せず、なるべく刺激を少なくするようにします。
お風呂を嫌がる場合は、汚れた一部分だけをシャンプーするところから始めたり、お湯を少しずつかけてみるなど、無理なくすすめていきましょう。
ドライヤーも弱い風と低い温度にして、最低限の使用で済むようにします。
毎回、お風呂の後におやつを与えることで、お風呂の後には良いことがあるとインプットさせるのもひとつの方法です。

猫のお風呂を楽しむコツ
猫を最初にお風呂に入れるときに、嫌な思いをさせないことが大切です。
嫌がることは無理せずに少しずつ慣らしていく中でも、楽しいことだと認識してもらえるように、バスタブや洗面器の中に愛猫が好きなおもちゃを浮かべてみるのもひとつの方法です。
猫のお風呂に入れる頻度
前述のとおり、室内で飼っている猫は毛づくろいによって、清潔を保てているため、お風呂に入れる必要がほとんどありません。そのため、年に2〜4回で十分でしょう。
洗いすぎて皮膚をあれさせたり、お風呂に抵抗感がある猫を必要以上にお風呂に入らせたりすることで、大きなストレスを与えてしまいます。

猫がお風呂を嫌がらない方法
子猫のうちから、無理なくお風呂に慣れさせることで、お風呂が好きになる場合もあります。
好きなおもちゃを利用したり、お風呂上りには好きなおやつが食べられたりなど、楽しいと感じられることがあれば、嫌がらなくなる確率があがるでしょう。
反対に、最初のお風呂で嫌な経験をインプットしてしまうと、お風呂が嫌いになる可能性が高くなります。
みんなのおすすめ猫用シャンプー
シャワーや濡れることを嫌がったり怖がったりするようであれば、次のような水を使用しないドライシャンプーがおすすめです。
無理せずに、ドライシャンプーによって体を洗うことに慣れてもらいましょう。
【アース・ペット株式会社「水のいらない泡シャンプー 猫用」】

出典:アース・ペット株式会社「水のいらない泡シャンプー 猫用」
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猫のシャンプーは無理をさせずにできるところから、慣らしていきましょう。







